理事が知っておくべき会計の基礎 〜決算書の読み方から予算チェックまで〜

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「数字が苦手な自分が理事なんて…」そんな不安を抱えているあなたへ

「また理事会の資料が届いた…この数字の羅列、一体何を意味しているんだろう?」

マンション理事になったばかりのあなたは、こんな気持ちではありませんか?決算書を前にして冷や汗をかき、「質問されたらどうしよう」「管理費が適正に使われているかわからない」「もし不正があっても見抜けない」そんな不安でいっぱいかもしれません。

実は、多くの理事が同じ悩みを抱えています。しかし、会計の専門家になる必要はありません。大切なのは「住民の大切なお金が適正に管理されているか」をチェックできる最低限の知識です。

安心してください!
この記事では、会計が苦手な方でも明日からできる5つの具体的なステップをご紹介します。専門用語は分かりやすく解説し、実際に使えるチェックシートもご用意しました。

明日から始める!理事のための会計チェック5ステップ

1. 決算書の「3つの数字」だけ最初に確認する

決算書全体を理解しようとすると混乱します。まずは以下の3つの数字だけに注目しましょう。

決算書チェック項目:

  • 管理費収入
    ・確認場所:収支計算書の収入欄上部
    ・チェックポイント:予算と大きくズレていないか
  • 管理費支出
    ・確認場所:収支計算書の支出欄合計
    ・チェックポイント:収入を上回っていないか
  • 修繕積立金残高
    ・確認場所:貸借対照表の現金・預金欄
    ・チェックポイント:前年より減っていないか

具体例:
「管理費収入2,400万円に対し、支出が2,450万円。50万円の赤字になっていますが、なぜでしょうか?」
このように具体的な数字で質問すれば、管理会社も丁寧に説明してくれます。

2. 前年同月との比較で異常を発見する

数字の良し悪しは比較してこそ分かります。前年同月の資料と並べて見比べましょう。

前年同月比較の例:

  • 清掃費
    ・今年4月:15万円
    ・昨年4月:12万円
    ・増減:+3万円
    ・確認すべき点:契約変更があったか
  • 修繕費
    ・今年4月:45万円
    ・昨年4月:8万円
    ・増減:+37万円
    ・確認すべき点:何の修繕を行ったか
  • 光熱費
    ・今年4月:6万円
    ・昨年4月:7万円
    ・増減:-1万円
    ・確認すべき点:LED化の効果か

要注意!
前年と比較して20%以上の増減がある項目は必ず理由を確認しましょう。「なんとなく増えた」は危険信号です。

3. 「御用聞き質問法」で管理会社に確認する

「分からないことを質問するのは恥ずかしい」と思わないでください。以下のテンプレートを使えば、理事として適切な質問ができます。

【理事会での質問テンプレート】 「○○の費用について教えてください」 「前年と比較して○万円増加していますが、要因は何でしょうか?」 「この支出は予算の範囲内でしょうか?」 「同規模マンションと比較して、この金額は適正でしょうか?」 「この契約の見直し時期はいつでしょうか?」

4. 「金額の大きさ順」でチェック優先度を決める

限られた時間を有効活用するため、金額の大きな項目から優先的にチェックしましょう。

チェック優先度の判断基準:
1. 年間100万円以上:必ずチェック
2. 年間50万円以上:重点的にチェック
3. 年間20万円以上:定期的にチェック
4. 年間20万円未満:年1回チェック

5. 「おかしいな」を見逃さない記録術

気になったことは必ずメモに残しましょう。小さな疑問が大きな問題発見につながることがあります。

【理事チェックシート例】
日付:2024年4月15日
確認者:○○理事
気になった点:
 ・清掃費が前年より25%増加している
 ・修繕積立金の取り崩しが予定より多い
 ・電気代が夏でもないのに高額
確認予定:
 ・次回理事会で清掃業者との契約内容を確認
 ・修繕計画の見直し状況を聞く

よくある失敗例と対策

失敗例1:専門用語に圧倒されて質問できない

対策: 「分からない言葉があるので、住民に説明できるよう教えてください」と素直に聞く。理事の質問は住民代表としての当然の権利です。

失敗例2:細かい数字にこだわりすぎて全体が見えない

対策: まず全体の収支バランスを確認し、その後で大きな金額から順番にチェックする。1万円の支出より100万円の契約内容を重視しましょう。

失敗例3:管理会社の説明を鵜呑みにしてしまう

対策: 必ず「根拠資料を見せてください」「他のマンションではどうですか?」と確認する。比較情報を求めることで適正性を判断できます。

今日から始められる具体的アクション

会計の基礎知識は一日で身につくものではありませんが、理事として最低限必要なチェックは今すぐ始められます。

明日からできること:
1. 最新の収支報告書を手に取る
2. 管理費収入・支出・修繕積立金残高の3つの数字を確認
3. 前年同月の資料と比較してみる
4. 気になった点を1つでもメモする
5. 次回理事会で1つだけ質問してみる

「完璧な理事」を目指す必要はありません。住民の代表として「おかしいことはおかしい」と言える理事であることが大切です。

数字が苦手でも大丈夫。大切なのは住民の財産を守ろうとする気持ちです。この記事でご紹介した5つのステップを使って、自信を持って理事としての役割を果たしてください。

最後に:
理事の仕事は決して一人で抱え込むものではありません。分からないことがあれば他の理事や管理会社に相談し、必要に応じて専門家の意見も求めましょう。あなたの「住民のために」という気持ちがあれば、必ず良い方向に向かいます。

※この記事が少しでもお役に立ったら、同じ悩みを持つ他の理事の方にもシェアしていただけると幸いです。みんなで支え合って、より良いマンション管理を実現していきましょう。

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